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土地持ち資産家の最後の節税チャンス

2014.11.10

いよいよ相続税増税時代の幕開けが間近になりました。巷では、節税のためのセミナーや書籍が溢れかえっています。確実に節税を目指すなら、生前に専門家に相談した上で具体的な対策の計画を立て、できるだけ早く着手することが必要です。

しかし、実際にはそのような生前対策をまったくしないまま、あるいは対策半ばで残念ながら相続が発生してしまうことも多々あります。そうなると、「あぁ、間に合わなかった」となるのでしょうか。また、ほぼ計画通りに対策を実行した後に相続を迎えると、「あぁ良かった。対策は完璧にできているから!」と安心していいのでしょうか。

 

どんなに生前の節税対策をしっかりやっていても、あるいはやっていなくても、実際の税額が決まるのは相続発生時点ではありません。実際に納税額が決まるのはそれから10ヶ月後の相続税の申告書提出時点です。この間にどのような工夫ができるかで、まだまだ相続税は下がる可能性があります。逆に言うと、この10ヶ月間にやるべきことをやらなければ、折角生前に万全な対策をしていたとしても、その効果が半減してしまうこともあるのです。

 

特に注意してほしいのは土地持ち資産家の相続。何故なら、土地は相続財産の中でも最も大きな割合を占める上に、誰が評価するかで評価額が変わり税額が大きく変わる可能性が高いからです。

「国の税金なんだから誰がどう評価しても同じ。税額も変わるはずないのでは?」と普通の方は思います。当然です。しかし、実際は違います。相続税においては、誰に業務を依頼したかによって評価額が変わり、納税額が変わるのです。最も差が出やすいのが土地です。

 

土地を評価する場合の通常の手順は、

①登記簿謄本で権利関係を確認する

②住宅地図等で場所を確認する

③路線価図で路線価を調べて相続税評価額を算出する

といった感じになります。しかし、これだけでは不足です。これを踏まえ、絶対に欠かせないのが現地調査です。道路に2m以上接していない土地であれば建築基準法上建物が建てられませんし、その道路幅が4m未満であれば将来の建て替えに制限を受けてしまいます。

また、道路との高低差がある土地も、利用にあたって擁壁や土盛りが必要になって(=費用がかかって)しまいます。従ってこのような土地の評価は減額できるのですが、やはり現地を見てみなければ分からないケースも多々あるのです。

更に、現地では、目で見て確認するだけではなく、巻尺持参で間口や奥行き等を様々計測することも必要な作業です。

 

現地調査の他に、役所での調査確認も不可欠です。例えば、都市計画課で用途地域や計画道路の有無を確認します。建築指導課や道路課でも重要な確認事項がありますし、埋蔵文化財の発掘調査が義務付けられているか否かも調べます。これらは最低限の調査項目で、土地の評価額を適正に減額しようと思えば他にも確認しなければならないことは多々あります。

 

では、そうやって算出した評価額が必ず適正かと言われると、実はそうとも言い切れない場合が結構あります。相続税評価額の算出は「相続発生時の時価」です。しかし、土地の場合は「時価」と言われてもよく分かりません。そこで国税庁は「財産基本通達」の中で様々な土地の評価方法を定めていて、基本的にはこの通達に則って評価していきます。しかし、この通達は万能ではありません。

世の中には様々な形状・環境の土地があり、それらを全て網羅するような評価算出方法を示すことはそもそも不可能だからです。実際には、この通達に示された評価方法では不合理な場合も多々あり、その際は原点に立ち返って評価算出しなければなりません。

つまり、「相続発生時の時価」です。具体的には、不動産鑑定士による鑑定評価ということになるでしょう。ただし、鑑定評価であれば常に認められるということもありません。税務調査の対象となる可能性も高く、ケースによっては否認されることもあるでしょう。勿論、適正な鑑定評価であれば、調査にあっても何の問題もありません。

 

以上のことを考えると、土地持ち資産家の相続税の申告にあたって税額を適正に抑えたければ、不動産に関する知識のある専門家に依頼することが重要と言えます。税法や基本通達が分かるというレベルだけでは、土地の評価を十分に減額することは難しいのです。

建築基準法は勿論、都市計画法や農地法、土地区画整理法、宅地造成規制法などといった知識が必要になります。依頼する相手を間違えれば折角の生前対策の効果も半減しますし、逆に相手を間違えなければ、生前対策の不足をある程度帳消しにもしてもらえる可能性もあるでしょう。

 

土地持ち資産家の最後の節税チャンスは、相続発生後の専門家の選任にあるといっても過言ではないのです。

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筆者紹介

江頭 寛
福岡相続サポートセンター
代表取締役社長

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。

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